審査員6人集による1万字放談☆
〜時代はあなたに委ねてる〜
現在、エイベックスに所属する、浜崎あゆみ、安室奈美恵、倖田來未、YU-KI(TRF)、KEIKO(globe)、持田香織(Every Little Thing)、伴 都美子(Do As Infinity)、大塚 愛、YUKA(moumoon)、後藤真希、宇野実彩子(AAA)、伊藤千晃(AAA)というポップ史に名を刻む歌姫たち。しかし、2005年にAAAがデビューしてはや10年……。音楽業界はCDが売れないから不況!?誤解を恐れずいえばエイベックスはAAA以降、メガヒット曲が生まれていない!?では、この“空白の10年”を埋めるニューカマーはいったい誰だ!?エイベックスといえば、やはり女性ソロ・シンガーでしょっ!!!というワケで、次世代のエンタメ業界を支える歌姫の原石を発掘するオーディション企画『a-project第一弾avex GIRL’S VOCAL AUDITION』が決定しました。そう、“時代はあなたに委ねてる”んです。
エイベックスのトップ・プロデューサーが「アナタの“声”に会いに行きます。」と題して、全国の五大都市(東京・札幌・名古屋・大阪・福岡)へ赴き、応募者全員の“声”を直接審査するという、新しい形のオーディションが今夏スタート。そこで、審査員に抜擢された音楽シーンを牽引する6名のプロデューサーが集い、理想の女性ヴォーカリスト像や、エイベックス・イズムについて熱〜く語って頂きました。
取材・文:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)
「MAXIMIZOR」など複数名義で様々なジャンルを手掛けるクラブミュージシャンとして活動。中でも「Can't Undo This!!」は国内Raveの象徴的な作品として認知される。その一方で作曲家、編曲家として、安室奈美恵、浜崎あゆみ、V6、北乃きいなどをはじめとする多くのアーティストに作品を提供。MAXに提供した「Give me a Shake」では第39回日本レコード大賞優秀作品賞受賞。音楽的知識の深さ、その人柄から若手アーティストの育成に関わることも多く、アーティスト、スタッフからの人望も厚い。近年ではジャニーズWESTや96猫への楽曲提供などより広い層に向けての音楽発信を行っている。
TRF「BE FREE」で作曲家としてデビューし、後に浜崎 あゆみ、V6、倖田來未をはじめとした数多くのアーティストへの楽曲提供を経て、 2001年Every Little Thingの「fragile」で日本レコード大賞作曲賞を受賞。一方2006年、alan(アラン)に出逢い、作曲家という位置づけだけでなく、サウンドプロデューサーとして日本のみならずアジア圏でも活躍中。
2002年8月day after tomorrowのキーボーディストとしてデビュー。同年日本レコード大賞新人賞受賞。その後、東方神起をはじめTRF、Every Little Thing、AAAなど数多くの楽曲提供と並行して新たな制作環境開拓のため、様々なオーディションやアジア圏の音楽シーン視察のために足を運ぶなど幅広い視野での音楽活動をスタート。2008年には自身のユニットgirl next doorを結成。日本レコード大賞では新人賞、2度の優秀作品賞を受賞。近年では中国のオーディションにも参加するなど活躍の場を国内からアジアへと広げている。
2004年音楽専門学校在学中から、プロデュースチームHΛLにて音楽活動開始。主にキーボード、プログラミングを担当。浜崎あゆみや中居正広、HIGH and MIGHTY COLOR、伊藤由奈などさまざまなアーティストの制作に参加。2014年作曲を担当したAAA「さよならの前に」が第56回レコード大賞、優秀作品賞を受賞。
TRF「BE FREE」で作曲家としてデビューし、後に浜崎 あゆみ、V6、倖田來未をはじめとした数多くのアーティストへの楽曲提供を経て、 2001年Every Little Thingの「fragile」で日本レコード大賞作曲賞を受賞。一方2006年、alan(アラン)に出逢い、作曲家という位置づけだけでなく、サウンドプロデューサーとして日本のみならずアジア圏でも活躍中。
作曲、ギターギタリストとしてインディーズのフィールドで数多くのステージを経験、ステージ上でのテクニカルかつメロディアスなギタープレイからプレイヤーとしてだけではなく作曲家としての可能性を見出され作曲活動を開始。AKB48、SKE48やAAAなどの楽曲を手掛ける。「多くの人の心に残るPOPS」を第一に考え制作活動を続けている。
2004年音楽専門学校在学中から、プロデュースチームHΛLにて音楽活動開始。主にキーボード、プログラミングを担当。浜崎あゆみや中居正広、HIGH and MIGHTY COLOR、伊藤由奈などさまざまなアーティストの制作に参加。2014年作曲を担当したAAA「さよならの前に」が第56回レコード大賞、優秀作品賞を受賞。
サラリーマンとアーティストという二足の草鞋を履いた経験を活かし、日本の文化・エンタメコンテンツの海外発信に尽力中。「シャインズ」「東京プリン」として、アーティストデビューし、有線大賞音楽賞を受賞した経歴も持つ。「実録 現役サラリーマン 言い訳大全」他を幻冬舎から出版するなど執筆活動も積極的に行っている。2013年に参議院選挙で、「日本を宣伝します」をスローガンに自民党公認候補として比例区より立候補するも落選。
鈴木 今の時代に大事なのは体験=ライブだと思っています。ライブはごまかしが効きません。本当に歌の上手い子じゃないとアーティストになれない時代が近づいているんじゃないかな。
菊池 そうですね、エイベックスは女性ソロのヴォーカリストという意味ではトップを走っているイメージがありました。でも、今はグループやアイドルも増えてきましたよね。これまでもオーディションはたくさんやってきたんですよ。でも、歴代の歌姫たちがすごすぎて、それに追いつけるかの見極めが難しかったんですね。今回、“声”を重視したオーディションということなので、目的を絞った分、判断しやすいので探しやすいかもしれないなって思っています。
星野 (鈴木)大輔が言ったようにライブは大事だね。ライブ・パフォーマンスができるというのは一番難しい条件なんだけど、本当はみんな一番欲しいんだよね。魅力的なパフォーマンスがさくっとできる人はレコーディングするにしても簡単なんですよ。その後の苦労も少ない。あとはカズ坊(菊池)が言ったように、実際に現場に行って“声”から聴けるっていうのは実は大きいんですよ。オーディションやっても、録音された音源を聴くのと、現場で歌われるのとでは違います。僕らが期待するのは、その場でその人が発するオーラというかカリスマ性ですね。はじめてスタジオにあゆ(浜崎あゆみ)が来て歌った時、「え、なんだコイツ!?」みたいな。そんな驚きが欲しい。
鈴木 浜崎あゆみさんが最初に歌った時って星野さんがいたんだよね。
星野 松浦社長が連れてきて、歌入れや曲作りをするレッスンを行った時だね。癖はすごくあって、直したい所ももちろんいっぱいあるんだけど、まず第一声に驚かされたの。あんなちっちゃい女の子がいきなり声出した時に「はい、みんなこっち注目!」って言っているようなカリスマ性を感じられたのね。そういうのって、その後何回も会えるものじゃなくて、まぁ、なかなかいないんです。だからといって諦めてもいけないし、もしかしたら今回このオーディションで出会えるかもしれないし。やっぱり期待しちゃうんですよ。求めるのはそこかな。
星野 そうですね、trfのデビュー前、ずっとコネコネしているとこから見てました(笑)。小室哲哉さんのところに行ってお手伝いしたときから見ているので。やっぱりこう、あるんですよね、感じさせるものが。YU-KIさんがいらっしゃった時も、声がすごかった。周波数をみて「え、この声どういう事!?」って言ったら小室さんが「この1キロヘルツがさ……」って(笑)。そういうのから見てきてます。やっぱり十年に一度じゃないですけど、何年かに一度、出会えるんじゃないかという期待感を持っています。
星野 単に歌がうまいとか踊れるとかそういうこと以外。出てきてペコリってやって歌いだした瞬間に感じるものがあるかないのか。そこから違う人って絶対いるんですよ。なんていうか生きてる事自体で表現してる人。人間力といっても良いかもしれない。
鈴木 最近、カラオケの普及のせいか、特定の曲に関してはみんな歌がうまいんですよ。昔に比べてメイク技術も発達したし、ルックスもかわいいですし。なので、かわいくて歌うまいってそんな特別な事じゃないんです。よっぽどじゃないと。
五戸 僕は先輩方に比べたら経験は少ないんです。そんななか思うのは、最近は多人数のアイドルが多いので、やはり、ソロで一発で魅了できる歌い手に出会ってみたいですね。会った瞬間に何かを感じられるくらいのアーティストさんが理想です。
丸山 私は小さい頃、『ASAYAN』を観ていた世代で。エイベックスのイメージはソロ女性シンガーが強いですね。やっぱり浜崎さんの声とかCMで流れるとパッて見てしまう。耳をグッと掴まれる声質だと感じています。一聴して惹かれるモノがある方と出会いたいですね。
鈴木 単体でみるときっと収益性は低いんです。たとえば一個のサブスクリプション・サービスだけだとパーセンテージって少ないんですね。でも、サブスクリプション・サービスはAWAやLINE MUSIC、KK BOX、Spotifyなどなど、数も増えているので、トータルで考えていく時代になるのではないでしょうか?
星野 間違いなくアーティストの裾野が広がっていると思いますよ。機材も安くなったワケで、参加するハードルが下がり、作り手も増えていますよね。30年前だったらどうはじめればいいか分からない事でも、今はパソコンやスマホにする音楽を作るアプリがあったりしますし、使い方も検索すればノウハウがいくつも出てくると思います。今はEDMなど、世界的にダンスミュージック・シーンが国を越えてフラットになりつつありますし、日本人にもチャンスがあると思うんですね。低年齢化もしています。これはテクノロジーの進歩があってこそだと思っています。
鈴木 良いと思います。最近増えてますよね。
星野 アーティストやDJなど、メロディや曲の構成とかにアイディアがあるんだけど、実際に音を作れない人たちと俺らが組むというスタイルもありますよね。
鈴木 僕が一番好きなのはマックス・マーティンです。ブリトニー・スピアーズ「ベイビー・ワン・モア・タイム」、「ウップス…! アイ・ディド・イット・アゲイン」とかバックストリート・ボーイズ「アイ・ウォント・イット・ザット・ウェイ」、「ラージャー・ザン・ライフ」とか、ボン・ジョヴィ「イッツ・マイ・ライフ」とかやってますよね。
鈴木 ここの3人(星野、菊池、鈴木)って、いっしょにオーディション企画で北京にすんでいた事があるんですね。僕K-POPも別でやってたりするんです。そうやっていろんな国に行くと、鳴ってる音ってそれぞれ違うんですよ。もちろん、どこを主軸に考えるかっていうと、日本だとアメリカを見てるからアメリカが最先端になるんですけど、中国行ってみると全然違う方向行ってたり、タイはタイでまた違う方向だったり、マーケティング的には難しいポイントはありますね。でも、ネットのおかげで国境越えていけるチャンスはありますよね。そう考えると、もしかしたら独自性ある和楽器サウンドにチャンスがあるかもって思っています。
鈴木 J-POPって結構雑多といいますか、何でもあり感が強いですね。バラードもあり、アッパーな感じもあり、ダンス・ミュージックもあり、バンドもOKですし。意外と一番多様性があるのがJ-POPな気がしています。
菊池 そんな時に、この数年ですがK-POPが台頭してきた歴史がありますよね。差異はトラックのクオリティの高さですよね。
鈴木 細分化は進むと思っています。音楽に限らずすべてがそうですよね。そんな意味では、何がウケるのかは予測しづらい環境だと思います。
鈴木 大きいと思います。
菊池 そのうえで、基本的には僕たちもプレゼンをして、リスナーに選んでもらっている立場なんですよね。
伊藤 クリエイターって世の中に合わせていく感じなのかな? それとも自分が「これはいいじゃん!」と思わせていく? そういうポリシーってどうなってるのかな?
鈴木 いや、流れですよね。どういう事かというと、僕らも音楽好きなんですよ。流行りのサウンドを聴いたときに引っ張られることもあるんですよ。たとえばドラムの音一つにしても「あ、このドラムかっこいいな!」と思わされたことで、自分の作品も寄っていくことはあります。でも、流行ってるからってだけで自分の興味以外の方向に行ってっていうのは逆に難しくて。やっぱり好きじゃないと作れないってのはありますね。
伊藤 90年代のエイベックスって、独善的に「これがかっこいいでしょ!」って打ち出すことで、周りを動かして成功していきましたよね。その先頭が小室さんや松浦さんだったり、安室さんやあゆなどのアーティストだったとしても、何を打ち出したいのかということを、はっきりさせるのはとても大事かもしれないですよね。
星野 そう思います。小さい時から「エイベックスのサウンドはこうだ!」って思ってくれてる人たちがいるって事を突き詰めると多分produced by max matsuuraってセンスにつながるかもしれませんね。
菊池 自分たちでプロデュースしてくと、自分たちのやりたい目線で一つ一つのサウンドができていくんですけど。指標があるとないでは大きく違うというのは確かですね。
星野 さっきようすけさん(伊藤)が言ったように「どういう音に影響うけるの?」とか、オッケーな方向性に持っていく事は大事なんですよ。やっぱり人間ブレるんで。
伊藤 今って、いろいろシステムは成熟しているのに、「これ!」ってアーティストがなかなか現れづらい環境じゃないですか? そんな意味じゃ、みんな迷ってるってことなんですかね?
星野 迷ってるし、それこそ細分化しているということですよね。思うのは、もしかしたら今数千枚しか売れない、セールス的にそれほどなアーティストでも、それが100組集まったら、安室奈美恵さん級な数字になるかもしれない。そんな考え方もありますよね。配信という便利な届け方もできて、細かく届けやすくはなっているんですよね。たとえばですけど、昔はガム買おうと思ったら“あれ”だけだった。だけど今はガム買おうと思ったらみんないろんなメーカーのガムを自分の趣味志向で選んで買ってくると思うんですよ。情報が行き渡り、細分化ってそういう事なのかなぁ。もちろん、それをヒットで打ち破りたいんですけどね。
伊藤 って事は、全体のパイをとろうとしたら、ターゲットの子たちのライフスタイルまで考えちゃうようなアーティストを見つけるって事が大事なのかな。今の時代でいえば、たしかに相当ハードル高くなってるって事ですよね。
星野 たとえば、リスナーの子って、ファンだったら好きなアーティストの結構マニアックな事に誇り持ってたりするじゃないですか? 「マニアックだけど、でも良いですよね!」っていうポイントの積み重ねってとても大事だと思うんですよ。
伊藤 それこそ人気のEDMフェスTomorrow_landなどでかけてくれるような曲を作る日本人アーティストが出てくる可能性は以前より高くなったよね? 最初からそういうような事を目指す事も大事ですよね。
星野 そこはどうなんだろう。
伊藤 このあいだTomorrow landに行ったら2NE1(K-POPグループ)が出てきたんですよ。オオトリで。どこかの人気DJとのコラボだったんですけどすごい盛り上がりも見せていて。そういうの見ると悔しさを感じたんですよ。
星野 なるほどね。それはDJで盛り上がってる可能性もあるかもしれない。他のアーティストがやったとしても盛り上がったかもしれない。
伊藤 でも、そういった場があるってこと、盛り上がれる対象としてのアーティストとがいるってことはとても大事ですよね。そういう人たちを皆さんで選んで欲しいなと。
伊藤 実際こんなすっごい楽曲が出来たけど、歌ってもらう人がいないなって時ってありますか?
星野 ありますよ。
鈴木 ありますね。
丸山 はい。
五戸 自分の中で良い曲って思っても流れてしまうことってあるんですよ。曲にハマるアーティストさんが出てきたら歌ってほしいなって曲もあったりしますね。
星野 難しいのはね、良い曲はあるんだけど、誰でも合うワケじゃないんだよね。
鈴木 良い曲ってのも、短絡的にいえば詞と曲と歌とアレンジが一緒になって1曲なんですよね。どれか一つが欠けちゃうとダメなんですよ。
伊藤 じゃあこの曲、この人に歌わせたいなぁって人、いたりしました?
星野 いますよ! でもタイミングが合わないとか、いろんなことがあったりしますよね。
鈴木 まだ、適任なヴォーカリストが見つかってないだけかもしれないって事もありますよね?
星野 あ、いいこと言った!そういうのもあるし。具体的なイメージはあってもね。
伊藤 ということは皆さんオススメの最強の楽曲をお持ちの上で審査員として参加すれば「お、これ歌ってもらいたい!」って出会いがあるかもしれないですよね。
鈴木 それ面白いかもしれないですよね。そういう人が現れたら「曲は好きなの選んでいいよ!」って言って自己プロデュースをしてもらうような。
星野 それね、違う番組企画が一本できると思う(笑)。それもそうですけど、たとえば僕たちが出会ったことないような子が来て歌いました、声を聴きました、その瞬間にみんなバーンと曲が浮かぶと思うんですよ。そのぐらいの人と出会える事を期待しています。
鈴木 今の時代は自己プロデュースができるような子じゃないとなかなか残りづらいと思いますね。
鈴木 あとね、カラオケを歌わせるとすげぇ上手いんですけど、オリジナル曲を歌わせるとあまり上手くないって子、結構多いんですよ。結局カラオケが上手い子って、そのアーティストを真似した歌い方なんです。オリジナリティとは別なんですよね。もちろんカラオケでの上手さもひとつの指標にはなりますが。
菊池 数ですね。ノルマがあって、3か月で30曲から40曲作る事になりました。テーマは特に縛りはなく自由にやってましたね。
伊藤 浜崎さんや安室ちゃんだったり、倖田だったり、そのアーティストを好きな子はみんなライフスタイルまでも真似しちゃうとこかな。中途半端じゃないレベルですよね。
菊池 そうですね。CDが売れない時代でもライブにお客さんが入ってますからね。
伊藤 「そのアーティストに全部なりたい!」ってファンが思う事じゃないかな。他のメーカーだとそういう事ってないですよね。そういう人たちが次から次へと出てきていたのがエイベックスな感じがするんだけど。
鈴木 あと、最近は360度契約などとよくいわれてきましたが、エイベックスのようにメーカーと事務所が同じっていうのもあんまりなかったんですよね。
菊池 とあるアーティストのレコーディングに呼ばれて「曲をこういう風に直したいんだけど」と言われた時に「あ、そっちに行くんだ」とか「こういう歌詞にしたいから、このメロディをこの歌詞に合わせてほしい」とかそういう相談を受けるのは、作家としても面白かったりしましたね。曲だけ渡しているだけでは出てこないアイディアというか。
伊藤 そこまでくると本当に表現者であり、アーティストですね。歌ってるだけじゃないですね。
星野 割とそこって、俺もウェルカム。「メロこうだから詞変えろよ!」というよりもね。俺らも歌い手の言葉が乗ることを前提で曲を作ってたりするので。
星野 僕は歌詞は書かないんですけど、このメロの時にはこの言葉がはまるだろうな!ってイメージが頭の中にはあったりするわけですよ。あゆの場合は、それがけっこう乗ってくるんです。結構な確率で!例えば、僕がなんとなくここは「だから」が入るなぁと思ってたところを「だから」って歌ってくるんですよ。これってすごいでしょ。
鈴木 僕はステージにも立ってたじゃないですか? いつも思うんですけど『a-nation』ってめっちゃ怖いんですよ。やっぱり5万人の前っていうと10万個の目で観られているワケですよ。僕らは後ろにいるんですけど、フロントにいるヴォーカルの子が勝ってないと負ける感じがするんですよ。やっぱりあそこに立つというのは、常人では難しいのかなって思いますね。
丸山 私は自分の考えていたメロディが歌い手の方次第で世界が広がって返ってくる場合があるんですね。想像していたものと全然違う広がりを与えてもらえるとすごく感動しますね。
五戸 想像を超えるってありますよね。
鈴木 このあいだ小室さんとも話してたんですけど、リファレンス(録音音源の確認)とか今までソニーのラジカセだったりしたんですけど、いまは圧倒的に聞かれている環境ってiPhoneなので、iPhoneでチェックするってことは大事ですよね。
星野 でもさ、最近いいヘッドフォンとかみんな買ってるんじゃないの?
星野 それこそ聴き方も変わってきてますよね。SoundcloudにしろBeatportにしろ、僕らはかつてアーティスト名で掘り出してたけど、今は1曲でいいね!ってなって掘っていって。で、アルバム購入につながる機会は少ない。でも、僕はアーティストはアルバムで聴きたいんだけどね。
鈴木 それこそYouTubeやニコニコ動画の影響もあって、映像と音楽が一緒というのも大事なポイントですよね。
菊池 Spotifyをずっと使ってるのですが、むちゃくちゃヤバいっすね。音楽ファンとして楽しいです。音もめちゃくちゃ良いですよ。それこそCDでずっと買ってきたものが月額の定額ですべて手に入っちゃうんですよ。あとエイベックスでもうすぐはじまるAWAも結構音いいですよ。
鈴木 確かに。でも、作曲家ってもう気にならなくなっちゃってますよね。配信だとジャケットすら無い作品もありますよね。
鈴木 レコ大くらいですかね。たしかに、そういう場があると嬉しいですね。
星野 グラミー獲りたいな……。
鈴木 オーディションだと1曲だけで判断とかって多いんですけど、「この子、他の曲で歌っていたら良かったのにな……」とか思ったりしますよ。それも自己プロデュース能力だって言われたら、そうかもしれないけどね。
星野 追加のチャンスを作ってあげればいいんじゃないの? それはこっちも向こうにとっても良いよね。「ちょっとバラード聴きたい!」と思ったら聴かせてもらえるのは良いシステムだと思うね。
五戸 ちょっとでも光るものがあれば、他のチャンスを与えられるようなオーディションが良いですね。
鈴木 AndroidのCM曲がかっこいいなと思ったら日本人の若手だったみたいな。
丸山 banvoxさんですよね。
鈴木 そう、絵と音がすごくマッチしてましたね
菊池 昨日、映画『ドラゴンボールZ 復活の「F」』を観ていて主題歌がももいろクローバーZだったんですけど、聴く前はミスマッチだなと思ってたんですけど、歌詞をかなりアニメに寄せていて。あれだけのアーティストですごいなと思いました。作品として良かったんですよね。
星野 ちょっと前だけどダフトパンクは良かったね。参加したナイル・ロジャースがすごくいい。で、あの成功をナイル・ロジャースも自分の事のように喜んでいたのが素敵だよね。ああいうの憧れるな。
五戸 僕はテイラー・スウィフトが気になっています。カントリー調出身であれだけ日本に根付くことはあまりないので。
星野 実は日本人ってカントリー調すごい好きだと思うけどね。俺はSteve'n'Seagullsって人たちが好きなんですよ。ライブ・パフォーマンスが良いですよね。ヘヴィメタとかいろんな曲をカントリー&ウェスタンでカバーしてるので、とっかかりもあるんですよ。
鈴木 インスピレーションを与えてほしいなって、楽しみです。「あんまり歌得意じゃないんだよな」と思っている人たちにも参加してもらいたいです。もしかしたら「君凄い良いよ!」って思えるかもしれない。大事なのは“声”ですね。今回のオーディションって単純に賞をあげて終わりってものではないので。大きなチャンスにつながると思いますので、たくさんの人に来てもらいたいです。
菊池 僕らもほんとに一番探さなきゃいけない時期なので、たくさんの方とお会いしたいですね。
星野 やっぱり各世代にすごい人はいると思うんですよ。でも来てくれないとわからないので。来てくれないと見つけられないので、たくさん集まって欲しいです。
五戸 いろんな人の歌を聴くだけでも、すごくインスピレーションになるので楽しみにしています。
丸山 いろんな方の声を聴いて「この人にはこのメロディが合いそう!」っていうのが見える“声”に出会えたら素敵だなと思っています。